ED治療薬
こんにちは,ようこそ! 【ログイン】 【新規登録】  
健康情報

関連商品

現在の位置: ホーム > 健康情報 > 米国の健康政策

米国の健康政策

ED治療薬 / 2008-08-13
[] [] []

新公衆衛生運動の世界的潮流と新たな健康政策(ヘルシーピープル)

 太古から病気を予防することは、人類の夢であった。実は歴史的にみると、20世紀の初頭まで西洋医学には有効な治療法がなく、予防こそが健康になるための最も重要な手段であった。予防の方法も上下水道と環境衛生、都市計画、栄養改善など、さまざまな手法が工夫されてきた。特に第二次大戦後は、諸学問の発達の恩恵を受け、臨床医学は目覚ましい技術革新を遂げ、病気の治療に貢献してきた。

1. 公衆衛生の復権
 しかし、1970年代、欧米でその輝かしい成功に対する疑惑が語られ始めた。英国バーミンガム大学マッキューン教授は1967年の著書「医療の役割」の中で英国の死亡率の歴史的分析の結果、「医療は死亡率の低下に貢献してこなかった」と主張したのである。
 医療への失望は予防への期待を生み出した。1974年に発表されたカナダのラロンド保健大臣による報告書こそが、公衆衛生の新たな復権を告げる宣言であった。この報告を出発点に、いわゆる新公衆衛生運動(New Public Health Movement)が欧米に拡がっていった(図1)。当時の疫学の発達による病因の解明、公民権運動や、人権運動による住民参加の高まりも、もう一度予防の重要性が再認識され、運動が世界的潮流となった理由である。2. 米国、ヘルシーピープル
 次の年、1979年にはラロンド報告の基本概念に基づいて、米国厚生省のマクギニス次官補はヘルシーピープル(Healthy People)という新たな国民的健康政策を打ち出した。この新政策の特徴は疫学や健康への危険因子を重視し、特に個人の生活習慣の改善による健康の改善に重点を置いたものであった。予防の方法としては、科学的に吟味された目標を人生の年代別で設定し、国民運動としてその目標を達成する手法を執っている(図2)。3. 世界各国への展開
 その後、目標管理によってそれぞれの国民の健康を改善する国は増加し、米国では第二期のヘルシーピープルの目標を2000年に置き、ヘルシーピープル2000として新たに22の優先順位領域と300の目標設定を行った。英国は1992年、保守政権サッチャー首相による国営医療制度の改革の一環として、The Health of the Nation(健康な国)という新しい健康政策を1992年に発表し、5つの疾病を主な領域とし、26の目標を発表した。1998年には新たに労働党政権により、Our Healthier Nation(われわれのより健康なる国)という新戦略が展開され、基本的には同じ手法を継承しようとしている。カナダでも1992年、ケベック州で、The Health and Well-Being(健康と豊かな生活のための政策)、オンタリオ州で1993年、Nuturing Health(健康の育成)という政策が始められている。

このページのトップへ

米国ヘルシーピープルの三期

 米国ヘルシーピープルは1980年以降三期にわたって発展してきた。その特徴を次期に沿って述べてみよう。

1. 第一期(1980―1990)
 1980年に発表された第一期「ヘルシーピープル」は国民参加型の健康政策と位置付けられているが、むしろ連邦政府および一部の公衆衛生専門家主導の政策と見ることができる。それは新たな公衆衛生の役割という文脈の中で誕生した政策である。つまり、臨床治療偏重の保健医療界において、予防の重要性に対する認識を高めること、健康増進という新しい概念を定着させることが、第一期「ヘルシーピープル」にとっての大きな挑戦であった。目的としては人生の段階を5つに分け、それぞれにゴールをおいたのが第一期の特徴といえよう。15の重点分野ごとに専門家の作業班をおき、方策についてのevidence(証拠)を検討している。

2. 第二期(1990 ―2000)
 第二期「ヘルシーピープル」は、連邦政府の枠を越えた国家的参加への発展が促進された時期と考えられるが、その主要なメカニズムは、学術団体、保健医療サービス組織、ボランティア団体など、健康増進・疾病予防に関心を持つ団体によるコンソーシアム(共同フォーラム)である(図3)。コンソーシアムは「ヘルシーピープル」活動に関しての情報交換、政府への政策提言、実際の活動の促進などを行っており、これらの専門家団体のための重要な参加メカニズムとなっていると思われる。その参加数は、1998年時点で342団体、1987年発足当初の約2倍となっており、著しい拡大が見られる。
 さらに、「ヘルシーピープル2000」のコンソーシアムには各州・市郡政府の保健医療担当官が参加している。第一期では州・市郡政府の活動は非常に限られたものであったが、第二期になると国家健康目標にならって独自の健康目標を策定する州が増加しており、コンソーシアムという参加メカニズムが大きな役割を果たしていることが示唆される。


図3 コンソーシアム参加団体の内訳、1995年

区 分 団体数
専門家団体 143
ボランティア保健医療団体 79
ボランティア団体 33
商業協会 31
教育関連組織 28
保健医療政策団体 22

3. 第三期(2000―2010)
 現在策定中の第三期「ヘルシーピープル2010」においては、保健医療団体の参加からさらに一歩進み、一般市民の政策形成過程への直接参加が進められている。その要因は、政策決定過程からの国民参加が、持続的な支持と活動促進にとって不可欠であるという認識が高まったためであると考えられる。
 第一の参加メカニズムは、「ヘルシーピープル2000」から開始された地方公聴会の拡大である。全国各地で行われる地方公聴会では一般市民が提言を寄せることができる。
 さらに「ヘルシーピープル2010」の参加主体と参加形態を大きく変えたのは、インターネットの利用である。インターネット上の米国厚生省ホームページに検討中の目標案が提示されており、誰もが直接コメントを寄せることができるようになっている。 そして、実際に寄せられたコメントは、最終目標策定に向けての再検討過程に反映されることとなっている。国民自ら健康目標の設定に参加することにより、目標達成のための活動に対しても活発で持続的な参加が促進されることが期待されている。政府と民間、並びに各分野間の壁を越えた議論の場を設けることも重要な目的である。目的としてはより政治的なものとなっている。


まとめ
 米国ヘルシーピープルは世界に先駆けて展開された目標管理型の健康政策である。この政策も20年にわたり推進され、これからさらに2010年に向けて第三期に入ろうとしている。1月にはその最終決定版が発表され、ヘルシーピープル2010開始のイベントがにぎやかに執り行われた。ヘルシーピープルは回を重ねるたびに複雑化しわかりにくくなっている一方、米国民の間に次第に浸透しつつあるといえよう。日本はこの歴史的な政策の立案や推進過程から学ぶことが多いと考えられる